【境界カメラ13】ナリモトD失踪事件再開! 寺内康太郎とそのリスナーたち

寺内康太郎とナリモトとイカワ



ナリモトD失踪事件、再開。
寺内の事件解決に向けた動きには、目覚ましいものがあった。
有馬と握手を交わしたエル・エーの事務所で、寺内は有馬に対し、新シリーズ『心霊獄門帳〜恐怖!絶対領域〜』ディレクターのナリモトとともに廃墟に向かったベテランカメラマンのイカワに電話をかけるよう依頼する。

「ナリモトは廃墟で失踪した」とイカワは証言していたのだが……。
電話に出たイカワと久々に話をする寺内は、いきなりこう切り出した。

「イカワさん、僕に嘘をついていることありますよね? ひとつ大きな嘘をついていますよね?」

決して一方的に責める言い方ではないが、はっきりとそう言い放った。
いきなりの先制パンチに動揺を隠せないイカワ。
電話の向こう側で動じている相手に対し、寺内は如何にも「イカワさん、あなたの味方ですよ」と言わんばかりに言葉を紡いでいく。
すかさず、寺内はイカワの取材アポを取ったのだ。
相手に有無を言わせぬ鮮やかな交渉テクニックを目の当たりにした『境界カメラ』会員リスナーたちは、寺内の仕事の早さと質の高さに驚いた。
さすがはテクニシャン寺内だ、と。

なにぶん、一年前に捜索中断してしまった事件だ。
リブートするにもエンジンを温めるのにそれ相当の時間がかかるのでは……、といった心配は無用の産物だった。

再開宣言から間髪入れず、水を得た魚のように精力的に取材に飛び回わる寺内。
リスナーへの報告会にしても月一回のスタジオ配信というかたちにとらわれることなく、時には自宅、時にはホテル、時には風呂と所構わず、スマートフォンで配信していった。
寺内がひとりで曜日や時間に縛られることなく臨機応変に放送したり、取材したVTRをタブレットで流し、その画面をスマートフォンで映して視聴者に見せたりと配信スタイルを変更したおかげで、速報性が確保され、より臨場感が増していく。

寺内の取材により、次々と明らかになっていく事件の謎。
しかも誰もが一番の謎だと思っていた「失踪したナリモトを見つけること」自体が再開後、真っ先に解き明かされたのだ。

え、なにそれ!?
鳥肌が立つほど、驚いた。

まさかタイトルにある謎が映画の予告編で明らかにされる程度のものだったとは……。
もっとも「ナリモトD失踪事件」はそれがネタバレとして表に出たところで、面白みが薄れるほど、ちゃちなコンテンツじゃない。
そもそもナリモト失踪の謎ひとつとっても、ナリモトが今どこにいるのかが重要ではなく、ナリモトが失踪せざるを得なくなった原因を解明することの方が肝心なのだ。
しかも謎を解明してもまた新たな謎が目の前に立ちはだかる。
まるでモグラ叩きみたいに謎の頭を叩いても、次から次へと他の謎が浮き上がってくるのだ。

謎を解き明かすのは、寺内だけではない。
寺内は『境界カメラ』会員リスナーと一緒に「ナリモトD失踪事件」の謎を究明していくのだ。
画面に登場する側だけでなく、見ている側も参加する──それは耳当たりの良い単なるキャッチフレーズではなく、文字通りの意味なのだ。
寺内は謎多き写真や動画、音声素材を配信中に提供するが、その素材について、別に誰からもやれと強要されているわけではないのに、自ら率先して謎を解こうとするリスナーたちがいた。

あるリスナーは、資料映像を何度も何度も観て、手書きのアナログなメモを取る。
あるリスナーは、自身のニコニコ生放送のコミュニティ放送で動画を流し、生配信のなかで動画の解析分析をしていく。
あるリスナーは、提供された謎の音声のノイズを取り、逆再生などの加工を施し、その音声に隠された言葉を探していく。
あるリスナーは、動画、音声、写真の様々な情報を頭の中でまとめ上げ、裏の裏を読んだミステリー的思考で自説を展開する。
あるリスナーは、提供された資料からではなく、すでに映像に映り込んでいた筆跡に注目し、独自の筆跡鑑定を行っていく。
あるリスナーは、人間の感情の動きに注目し、事件の根底にある元凶そのものを覗き見ようとする。

いわゆる「ガチ勢」と呼ばれる彼や彼女たちの検証活動は、中途半端なものではなく奥の奥まで考えられたものであり、しかも打てば響くほどの素早さで解析結果を報告していく。

この「ナリモトD失踪事件」は、寺内だけのものではなく、リスナーのものでもある。
真の意味で双方向である心霊ドキュメンタリーをニコニコ生放送という媒体を利用して実現させた。
ニコニコ生放送が好きで、なによりその可能性を信じている寺内だからこそ、なし得た偉業といっても過言ではない。

無論のことではあるが、事件や謎の追い方については人それぞれに楽しみ方がある。
自ら積極的に謎の解明に関わりたいというリスナーもいれば、検証結果だけを見たいというリスナーもいる。
あるリスナーが自説を唱えているのを見るのが好きなリスナーもいれば、寺内が配信している内容だけを楽しみにしているリスナーもいる。
どんな立ち位置でもいいのだ。
強制ではないのだから、楽しんだもの勝ちだ。

ただひとつ断言できるのは、どのリスナーも寺内康太郎の人となりが好きなのだ。
そうでなければ、寺内と一緒に事件を追っていこうという気になれるわけがない。

事件解決に向けて、全力疾走する寺内に置いて行かれないよう、これまた休みなく走り続けるリスナーたち。
その甲斐あってか、ナリモトと接触することに成功した。
勢いが衰えることのない寺内は、リスナーたちに宣言する。

年内に有馬の元にナリモトを連れてくる約束を果たすべく、公式放送の中で有馬プロデューサにナリモトを会わせる、と。

2018年11月17日。
とうとう、その日がやってきた。

公式放送、寺内の『境界カメラ』チャンネル、夏目大一朗の『ビッグサマー』チャンネル、当時立ち上がったばかりの徳田神也の『TOXIC』チャンネル。
これら4チャンネルで、ナリモトが有馬の元にやってくる、その様を完全生中継する!
これは必見だ!
未見の人も増えるぞ!
そう思ったのだが……。

そして、オレが『境界カメラ』について語りはじめた一番最初の記事に繋がっていく。

【境界カメラ1】ナリモトD失踪事件がニコニコ生放送公式配信されたが……



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