『心霊獄門帳~恐怖!絶対領域~』ディレクターのナリモト。
アダルトビデオに上書きされた謎の映像を解明する──。
その課題をプロデューサーの有馬顕から与えられたものの、新人ディレクターゆえの経験不足のため、ナリモトは事件解決の糸口すら見つけることなく、やらせに手を出してしまう。
だが、やらせで行ったはずの廃虚で彼は本物の心霊現象に出くわし、失踪してしまうのだ。
もっとも実際のところ、失踪といっても自宅に引きこもっていたわけだが……。
ナリモト失踪後、寺内康太郎は事態を解決すべく捜査と取材を重ねた。
結果としてナリモトを見つけ出した寺内は、彼をふたたび表舞台に連れ出そうとする。
寺内はナリモトをやらせで使ったはずの廃虚に引きずりだし、有馬との約束を果たすため、彼を『境界カメラ』運営会社エル・エーの事務所に連れて行くべくアポイントを取った。
公式配信でその様子を中継する!
寺内はそう意気込んでいたが、残念ながらナリモトは公式配信の場に姿を現わすことはなかった。
しかも公式放送は既存の『境界カメラ』会員にとっては興味深く面白いものだったが、ナリモトD失踪事件を知らない人にとってはよくわからないまま、終わってしまった。
しかし、しかしなのだ。
ここで失速するわけにはいかない。
反省会配信での『境界カメラ』のリスナーから叱咤激励を受けた寺内は、ますますやる気を覚えたのだろう。
重いプレッシャーだったろうがそれをはね除けた寺内は、会員リスナーの並々ならぬ熱意と期待に応えるべく、カメラを止めることはなかった。
そんな寺内の意気込みを肌で感じたのだろうか。
公式放送の出演は拒否したナリモトであったが、彼にも心境の変化があったようだ。
寺内康太郎の元にナリモトの方から電話があった。
電話口での寺内や公式放送にも顔を出したお母さんの説得のおかげもあってか、ナリモトはとうとうその重い腰をあげる。
2018年12月4日。
ナリモトは有馬顕のもとに自らやってきて、これまで失踪していたことについて謝罪するに至った。
ナリモトを有馬と対面させる──ついに寺内は有馬と交わした約束を果たしたのだ。
後に放送された寺内の配信でわかることであるが、ナリモトが今回、有馬の会社に赴いた理由は、寺内や母親の説得もあるが、SNSに流れる『境界カメラ』会員リスナーの声にも多く影響されたとのことだ。
かくしてナリモトは、社会復帰の一歩を踏み出すことになる。
それは、ディレクターのナリモト、カメラマンのイカワ、アシスタントの谷もも、以上三名からなる『心霊獄門帳〜恐怖!絶対領域』のスタッフ、チーム獄門帳の復活でもあるのだ。
寺内康太郎に残された時間は、あと残り僅かだ。
寺内とチーム獄門帳は、以前『心霊獄門帳』として追っていた最大の謎──アダルトビデオに上書きされた不思議な心霊現象と思しき映像についての調査に全精力を傾ける。
ここからのチーム獄門帳featuring寺内康太郎の快進撃は、まさに破竹の勢いであった。
ネタバレなしでいうと、手探りで行っていたはずの取材が思いがけないほど大きな成果を生み出すことになる。
ナリモトたちチーム獄門帳が追っていた最大の謎が解決されるに至ったのだ。
寺内は「獄門帳解決編」と題し、その取材結果を三回にわけて放送した。
元々、寺内が担っていた『境界カメラ』ナリモトD失踪事件における大きなミッションは、ナリモトを見つけること、そして上書きされたVHSの謎を解くことである。
それらが完全にクリアされた。
さらには事件再開後、寺内は「今年いっぱいで解決する」と明言していた。
だとしたら、もうここでエンディングを迎えてもいいはずなのだが……。
だが寺内は幕を閉じようとはしなかった。
まだキリタニの行方やナリモトが捨てたVHSと取材データを送付した謎の差出人、田中花子……など、残された謎がいくつかある。
寺内は、自身が考える謎の全面解決を目指すことを決意したのだ。
2018年12月末までの解決から1ヶ月間延長して2019年1月末までの解決へ。
寺内康太郎とチーム獄門帳の取材はまだまだ続いている。
2019年1月5日には、DVD『境界カメラ2』がリリースされる。
DVDはこれまでの取材結果をまとめ上げたものであり、面白みが凝縮されたものではあるが、寺内が常日頃から主張しているとおり、やはり第一はニコニコ動画『境界カメラ』チャンネルにある。
『境界カメラ』を未見である、とか、DVDだけで観ている人たちは、是非『境界カメラ』チャンネルも覗いてもらいたい。
寺内康太郎が視聴者に本当に見せたかったものが一体なんなのか。
きっと、それがわかるはずだ。
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