【境界カメラ4】『監死カメラ』後の寺内康太郎とニコニコ生放送

ラーメンを食べる寺内康太郎



そもそも寺内康太郎が監督として『境界カメラ』に参加した一番大きな理由はなにか。
オレの勝手な妄想で言い切ってしまおう。

寺内康太郎は、ニコニコ生放送が好きだから。
アナタガ、好キデスっ! 死ヌホド、好キダカラ〜ぁ!

最後はチャン・ドンゴンみたいに叫んでみた。
どうでもいいけど、寺内康太郎とチャン・ドンゴンって似てません?
って、明確に「似てません」って言ってるのに「?」をつけるだけで、似てるっぽく見えるみたいな意味になるのは面白い。
日本語ってすげえな。
そんなしょうもない前置きを入れつつ、今回は『監視カメラ』を卒業した後の寺内康太郎とニコニコ生放送について語っていく。

寺内がニコニコ生放送にはじめて演者として登場したのは、おそらく2015年8月13日に配信されたこの放送だ。

『ほんとにそろった!ホラーアベンジャーズ ほん呪,新耳袋 殴り込み!,監死カメラ,封印像,NotFoundから心霊スポット配信者まで奇跡の大集合』

寺内康太郎以外にも『封印映像』監督の鬼塚リュウジン、『Not Found』ディレクターの古賀奏一郎、当時『ほんとにあった!呪いのビデオ』演出補であった森澤透馬が集まって、投稿系ホラーについて語っている。
タイトルにある『新耳袋 殴り込み!』の誰かは、特に第二部には出ていない。

ちなみにこの動画、2018年11月29日現在でも、まだ見ることが出来る。
もし見ることが出来なければニコニコのプレミアム会員になって見てもらいたい。

寺内が演者だけではなく、演出としてニコニコ生放送に大きく関わったのは、2016年8月21日に配信された、ニコニコ生放送の公式放送、ホラー百物語『監死カメラシリーズ一挙上映&”初”生企画「キンタのぶらり廃墟の旅」』だ。

寺内がはじめてニコニコ生放送の「生で実話」配信されたこの回は『監死カメラ』の人気キャラクター、金田萌黄(キンタ)、カトール、菅野君の三人が生放送で登場する、猛獣使い寺内がいないと成り立たない企画だ。

寺内康太郎とKKK

寺内康太郎とKKK

かなりざっくりだが、あらすじはこんな感じか。

キンタこと金田萌黄が廃墟に凸撃!
……のはずなのに、いきなり自由気ままにラーメンを食ってみたり、酒を飲んで酔っ払ったり(酔ってるキンタはちょっと可愛い)。
酔ったまま廃墟に入る金田。
とある部屋で探索しているところ、見ちゃいけなものを見てしまう金田。
突然画面がおかしくなり、金田は失踪してしまう。

消え去る直前の金田の演技(素)は結構怖い。
さすが女優でありモデルであり声優だ!!

スタジオにいた、寺内、カトール、菅野君の三人が廃墟に赴く。
廃墟に突撃する廃墟マスターの菅野君の前には、トイレから出てくるループ男や半裸の男たちが次々に現れ、結局、気絶してしまう。

ここで真打ちのカトールが登場。
廃墟に乗り込み、カトールの白魔術「オキロ!」という名のビンタで菅野君を目覚めさせる。
その後、菅野君のことだからもちろん廃墟で霊と遭遇するわけだ。

あれやこれやの結果、消え失せていたキンタを見つけ、皆で廃墟から逃げだすが、車に乗り込んだ金田は実は……。

……と書いているオレの頭がアレになって妄想を書いているんじゃないかと疑われても仕方のない内容だが、生で実話なのだ、これは。

そのニコ生公式配信の後日談が『監死カメラ』17に収録された。

「ニコニコ生放送」「女優」(金田は川島萌黄という名前で女優をやっているが、「ニコニコ生放送」以降、フリーザ様みたいにどんどん見た目の形態が変っていってた)「始まりの終わり」(菅野君がとんでもない目に遭わされた挙げ句、幽霊ではなくUFOを撮るトンデモ展開)と続く一連の作品たちは、『監死カメラ』の三枚看板であるキンタ、カトール、菅野君のKKKが胸やけするくらい登場し続ける寺内渾身の異色作であった。

終始お祭り騒ぎの巻で、金田は舞台俳優の鈴木智晴によるいい声のナレーション(もちろん寺内が書いている)で毒と愛でもっておちょくられており、菅野君もまた毒と愛のあるナレーションでディスられ続けられていた。
女優でありモデルであり声優でもある(と言い切っている)金田萌黄の超絶ナレーションで締めくくられる。

そして、この『境界カメラ』17がシーズン最終作となった。

もし『監死カメラ』を観たことがない人は、是非、観てもらいたい。
とんでもない異空間に放り出された結果、人はどう思うか。

「すげえ面白い!」と思うか、「なにこの悪ふざけつまらんわ!金返せ!」と思うか。
この二者択一である。

「面白い」か「つまらない」の極端にわかれたどちらかの感想こそ、ディレクターである寺内が望んでいる結果なのだ。
クリエイターとしては「普通」が一番傷つく。

ニコニコ生放送の「生放送」回において演出した経験は、寺内にとって新鮮な感動を覚えた(はず)。
視聴者の打ち込むコメントによるダイレクトな反応に心が弾んだ(はず)。

そうだ。
寺内は、ニコ生での経験が単純に楽しかったのだ。
そして、この「楽しい」というすごく単純な思いが寺内の今後を決めていく。

映画監督ではなく、心霊ディレクターとしての寺内は『監死カメラ』卒業後、投稿系ホラーの金字塔『ほんとにあった!呪いのビデオ』に移籍する。

あたかも、河から大海に出て成長し、浅瀬の岩石で傷つきながらも産卵するために、生まれ故郷を目指しひたすら激流の河をさかのぼっていく鮭のように、寺内は『監死カメラ』の源流である『ほん呪』にその身を置いたのだ。

寺内は映画監督でありカメラマンでもある福田陽平らとともに『ほん呪』71巻目から当作に携わっていく。
寺内は福田に対し、カメラマンとしても全幅の信頼を置いていて、常々「福田が撮ると面白い作品が撮れる」と公言している。
事実、寺内が監督を務め、2018年公開された女子高生たちの青春を描いた映画『金沢シャッターガール』においても、福田に撮影を任している。
この『金沢シャッターガール』を観たことのない人に簡単に説明してみる。

青春モノにも定評のある寺内が少女たちの夢や希望や、瑞々しさを丁寧に描いた作品だ。

……などと、すでに鑑賞しているかのように書いたが、観ていなくてもおそらくそんな感じだろうなレベルの適当な一行感想だし、実際、まだ『金沢シャッターガール』を観ていない。
いいから、早いところ、ソフト化してもらいたい。
ってか、誰に頼めばいいのかわからんけど、Blu-rayはよ!!

ともかく、映画において裏方の存在は非常に大きい。
監督や演者がいればいいというわけではない。
脚本はもとより、カメラマンに腕がなければ、監督の思い描く絵は撮れないし、録音が下手だと演者が何を言っているのかわからない。
編集が適当だとグダグダしてつまらない作品になる。

寺内は、監督とカメラマンとして、あるいは監督と監督として、絶大な信頼関係がある福田たちと一緒に新しい『ほん呪』において次々と作品を生み出していった。

しかし、75巻を最後に寺内は『ほん呪』を去る。
その寺内康太郎演出の最終巻、メインタイトルが「母の願い」。
母の願いとは、いったいなんなのか。
最後にわかる、すでに死んでいる母が娘に抱くその真意は気持ち悪すぎる。

ブラック寺内の要素が存分に出た、ストーリー性が高い上に、後味の悪い作品が『ほん呪』最後の仕事であるのが興味深い。

寺内康太郎という天邪鬼な鮭は「よく考えたら、オレ、別に『ほん呪』の演出補出身じゃないから、ここ生まれ故郷じゃなかったわ」とばかりに『ほん呪』からふたたび大海に飛び出したのだ。

この記事の最初にあたりに

寺内康太郎は、ニコニコ生放送が好きだから。
アナタガ、好キデスっ! 死ヌホド、好キダカラ〜ぁ!

と書いた。

そうなのだ。
寺内はニコニコ生放送をフル活用した作品に関わりたかった。
そして、その寺内の理想を叶えられそうな作品に関われそうだったのが、『境界カメラ』であった、というわけなのである。

さあ、ようやく次回から『境界カメラ』の話になるぞ!!



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