【境界カメラ5】『境界カメラ』が始動したが……

寺内康太郎とKKK



ニコニコ動画の有料チャンネル『境界カメラ』の開始が宣言されたのは、2017年7月12日のことである。

当時はまだ正式タイトルがなく、『○○カメラ』と仮タイトルが名付けられていた。

立ち上げに至った理由は下記のとおりである。
『境界カメラ』プロデューサー有馬顕のチャンネル会員向け動画『「○○カメラ」始動宣言』から若干補足を入れた。

2016年4月 『恐怖の絶対領域!!心霊獄門帳』、始動

きっかけは、製作会社エル・エーに届いたアダルトビデオ(無修正、45分、定価5万円)のVHSテープに上書きされた不可解な映像
→ 有馬は、心霊ディレクターとして新人であったナリモトに取材を任せる

ナリモトは、ベテランカメラマンのイカワ(『パリテキサス』Tシャツを好んで着ている)とアシスタントの谷もも(女優兼プロレスラー)と一緒に取材を行っていた

2016年7月初頭 ナリモトからのメールが返ってこない

2016年7月8日 何度も電話をかけたが繋がらない

自宅を訪問しても不在の状況

2016年7月下旬 ナリモトが製作資金200万円を持ったまま「失踪」したと有馬が認識する

2017年1月 寺内康太郎が監督を務めた『監死カメラ』シリーズ終了

2017年5月 有馬の元に封筒が届く

ナリモトが持ったままのVHSとナリモトが取材した映像の一部が入ったUSBメモリが同封されていた
差出人の名前は「田中花子」で記載されていた住所はデタラメだった

2017年5月〜7月 有馬は、ナリモトの行方とVHSテープの謎の解明を寺内康太郎に依頼する = ナリモトD失踪事件

2017年7月12日 『○○カメラ』(後の『境界カメラ』)、始動

寺内康太郎が総監督を務める『境界カメラ』は『監死カメラ』の事実上の後継番組としてスタートした。

『監死カメラ』といえば、監督の寺内康太郎、プロデューサーの有馬顕はもとより、演出補であり女優でありモデルであり声優でもある金田萌黄も、レギュラーであるオカルト王のカトールも、それに準レギュラーの廃墟マスターの菅野君もいるじゃないか!!
あのコメディに振り切ったとんでもない投稿系ホラー『監死カメラ』が帰ってくる!!

『境界カメラ』(当初は『○○カメラ』)の立ち上げは、投稿系ホラー好き、かつ、ニコニコ生放送で放送されるホラー好き、の両方を兼ね備えた、マイノリティ極まりない、ある意味選ばれし客層にとてつもないほどの衝撃を与えた。

ニコニコ動画の有料チャンネル『境界カメラ』の肝はその企画構成にあった。

まずメイン企画は、「失踪した新人心霊ディレクターのナリモトの謎を同じく心霊ディレクターの寺内康太郎が追う」ナリモトD失踪事件である。
これは『境界カメラ』が立ち上がった経緯と直接関係する、『境界カメラ』の間違いなくコアな企画だ。

ナリモトD失踪事件は、コメディに振り切ったホラーだろうと思い込んでいた『監死カメラ』を観ていた層ほど、気持ちいいほどに騙された。
とてつもないほどのシリアスな心霊「リアル」ドキュメンタリーに仕上がっていたからだ。

ただ月4回配信を行うのに、大ネタのナリモトD失踪事件だけで構成するのは難しい。
寺内はリアルタイムでナリモト案件の調査をしているので、毎週毎週なにかしらの進展があるとは限らない。
そこで監督である寺内が投入したのが『監死カメラ』を盛り立てた、演出補金田萌黄、魔術堂カトール、廃墟マスター菅野君の三人だ。
俗にKKKと呼ばれる彼らに番組を任せたのだ。

金田が「心霊動画部 金田萌黄」
カトールが「KATORの怖い夜」
菅野君が「K-FILE」

『監死カメラ』の人気キャラクターに番組を担当してもらい、従来の『監死カメラ』の路線が好きな人でも安定して楽しめるKKK企画をあわせて立ち上げた。
まさにシリアスとコメディの両輪でチャンネル運営を進めていこうとした。
その現場責任者を寺内康太郎が担ったのだ。

2017年7月20日『「監死カメラ」シリーズ初の46時間前作完全一挙上映』

『ほんとうに映った!監死カメラ』1ー17だけでなく、寺内康太郎が漫画家いましろたかしとコンビを組んだ迷作『ほんとうに映した!妖怪カメラ』、そして『監死カメラ』生放送の特番のコンプリート46時間上映の勢いをつけたまま、『境界カメラ』初の公式放送が開始された。

2017年7月22日『緊急特番!! 「監死カメラ」の『キンタ・KATOR・菅野君』が再集結!! 新たにニコニコチャンネルを開局!!「〇〇カメラ」(仮)発動宣言!!』である。

『境界カメラ』はニコニコ生放送の公式配信で華々しく、出陣の狼煙をあげるはずだった。

たしかにその放送は、監死カメラのオールスターが登場した。
しかし、その生放送は結果として散々なものだった。
ニコニコ生放送配信の経験不足がたたり、やろうとした意気込みは感じられたものの、音声が小さかったりBGMが大きかったり、そもそもなにをやりたいのか視聴者に意図が伝わらなかったり……。

実際に会員になって動画を観ればよくわかるのだが、本筋である「ナリモトD失踪事件」はもとより「心霊動画部 金田萌黄」「KATORの怖い夜」「K-FILE」のVTRの出来はすばらしく、単体としても面白い。
「ナリモトD失踪事件」は知的好奇心が満たされるものであり、またKKK企画は単純明快で愉快で楽しい。
その良さがせっかくの公式放送で伝わらなかったのは残念としか言い様がない。

『境界カメラ』チャンネル

ニコニコ動画の有料チャンネルは、月額会員の手数料で運営される。
なにごともスタートダッシュが肝心で、本来なら会員数を増やす絶好の機会であった公式放送での手際の悪さもたたってか会員数は大きく伸びなかった。
その後も開始後数ヶ月において劇的に会員数が増加するということもなかった。

会員数が伸びなかった。
手数料が増えなかった。
その事実が、ほころびとなって表れるのにさほど時間はかからなかった。



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