【夏目大一朗2】売れないインディーズ映画監督、夏目大一朗

『調布ジュニア映画塾』夏目大一朗における




夏目大一朗
という映画監督がいる。
なつめだいいちろう、ではない。なつめたいちろう、だ。

簡単なプロフィール。
夏目は日本映画学校(現日本映画大学)を卒業後、映像製作会社に就職。二十代でフリーになった映像作家だ。

映画の作風は、ドライ。時事ネタに金・女・暴力を絡めたものが多く、大抵の場合、登場人物が死ぬ、あるいは登場人物を不幸のどん底に突き落とすことで物語が完結する。
作中に善人はほとんど出てこないし勧善懲悪というわけではないが、すげえ悪いことをするやつの最期は不幸に決まってるだろう、という庶民的な感覚を前面に押し出す夏目らしいメッセージ性が垣間見られる。

白石晃士の『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』が大好きで、そのコンセプトを自作にダイレクトに取り入れている。
だけど、ガチなホラーは好きじゃない。

一般的な知名度は乏しい夏目だが「インディーズムービー・フェスティバル」では2回連続入選後、3回目でグランプリを取り、また数々の有名監督を輩出した水戸短編映画祭でも準グランプリを受賞した経歴がある、インディーズ映画界ではある程度名の知れた存在なのである。

輝かしいインディーズ映画の受賞歴を踏まえた結果、2009年に『スリーデイボーイズ』で商業映画デビューもした。
……が、今現在のところ売れていない。

大量生産型の監督であるが、夏目大一朗作品であればこれ、といった商業的な代表作はない。
ホラー作品に限定していえば、売れていない夏目が、西川千尋というこれまた残念ながら売れていない女優と共演した『呪ギャル〜芸能怨霊伝説〜』になるのかもしれないが、これにより商業的、あるいうは夏目自身が経済的に成功を収めたとは言い難い。
むしろ経済的な観点からいえば、夏目の話しぶりからするとマイナスの側面の方が大きいように見受けられる。

夏目は二十代から今に至るまで、フリーで映像関係の仕事をしてきた。
聞くところによると映像業界もなかなかシビアな業界で、ある程度の成功を収めない限り、映像だけで食べていくのは難しいという。
監督や映像関係の仕事がなければ、生活のために他の仕事に転職せざるを得ない状況に追い込まれる。
仮に将来の展望が見えなくても、独身であればまだ、中年の域に差し掛かっても夢を追い求めることができるのだろうが、夏目はそういうわけにはいかない。
なぜならば夏目には家族がいるからだ。

家族持ちであり、なおかつ売れない監督だというのであれば、収入源が不安定な映像業界よりも、そこから足を洗い、安定した収入を得られる仕事を選ぶのが正しい選択ともいえる。
もしかしたら夏目の頭にもぼんやりかもしれないが、そんなことを考えた時期があったかもしれない。

しかしながら、2018年11月現在、42歳の夏目は今でも、ロッククライミングよろしく映像業界の岩壁に飛び出した小さな出っ張りに必死にしがみつき、映像の仕事だけで生活している。
人気商売である以上、人気が継続しなければ、数ヶ月先の生活すら見えない状況に変わりはない。
だけど夏目は、映像だけで食う道筋を模索し続けている。

『心霊調査ビッグサマー』タイトル画像ニコニコ生放送『ビッグサマーチャンネル』

ニコニコ生放送内の自身の有料チャンネル『ビッグサマーチャンネル』において、夏目はもはや仕事ではなく、趣味的領域になりつつある毎日生配信を行っている。
その配信の中で、時折、マイナスなことを語ってはいるものの、全般的に視聴者に見せるその顔には不思議と悲壮感や焦りはない。

──何故か?

それは、夏目が映画監督であるのと同時に、俳優という一面を持っているからだと推測する。
俳優は人前で演じることが生業だ。
夏目は自身のチャンネルであろうが、他人のチャンネルであろうが、映像作品であろうが、なんだろうが、夏目は与えられたフィールドを目一杯使って、人を楽しませたいという思いが強いのは間違いない。
そのため、自身に不安や迷いがあってもそれらを半ば自らのマイナスの思念を自らの演技で覆い隠しているのだ。

もっともそんな夏目であっても、時折、マイナスの感情を隠せないときもある。
それはダイレクトなカネの話になるときだ。
夏目とカネの話は、夏目の人間性の本質を語る上で重要な要素であると考える。
これは別項で後述することにする。



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