【心霊玉手匣5】『心霊玉手匣』打ち切りと復活。そして、チーム玉手匣は永遠に不滅だ!

心霊玉手匣constellation



岩澤宏樹監督『心霊玉手匣』シリーズは、熱狂的なファンが多い作品である。

ネットにある様々な感想や評価を読んだのだが、オレもツイートだけではなく、『心霊玉手匣』の感想を、存在を、かたちとして残したいと思った。
個人のブログではあるが、少なくともオレが生きている限りは、オレという一般人がこの作品を高く評価していたという事実は残る。
この作品をもっと多くの人に観てもらいたい。

残念なことではあるが、結果として『心霊玉手匣』は4巻で打ち切りになった。
この作品が好きだ、とSNSやブログで公言する熱い人たちがいたとしても、レンタルの回転率にせよセルの販売数にせよ、その母体となる数字がメーカーが設定した継続可能な設定目標に届かなかったのだろう。

誰よりも岩澤が一番悔しい結果だったことに違いない。
だが、『心霊玉手匣』の物語はここで終わりを迎えることはなかった。

岩澤もまた『心霊玉手匣』に対して、消えることのない熱い気持ちを持っていた。
いや、持っていたというレベルの話ではない。
この『心霊玉手匣』から発せられる目映いばかりの熱の根源は、まさに岩澤宏樹という男にあったからだ。

メーカーとの話し合いで打ち切りが確定的になった2016年の年末──。
岩澤は、こんな宣言をした。

岩澤宏樹がメーカーが打ち切った『心霊玉手匣』を自主制作する。
その一報に作品の続編を待ち望んでいたファンはどよめき、歓喜の声をあげた。
またチーム玉手匣に逢えるんだ、と。

これは岩澤にとって、非常に大きな決断だ。
自主制作なので作品の権利は岩澤のものだが、制作にかかる経費もまた岩澤の負担である。
これが新規の作品を撮るということであれば、まだチャレンジしやすい環境だろう。
たとえば「あの『ほん呪』『心霊玉手匣』の岩澤宏樹が撮った完全新作!」といった煽り文句で勝負をかければ、既存の固定客に追加して、新規も併せて見込める目論見がたつ。
だが『心霊玉手匣』は走り出しているシリーズで、すでに市場から結果を出されてしまった作品なのだ。
コアなファンはもちろんついてくるが、果たして新規集客を見込めることができるのか……?

無論、そのあたりのことを含め、岩澤は考えに考えた抜いただろう。
その上で『心霊玉手匣』の続編を制作することを決断したのだ。

岩澤は『心霊玉手匣』最終巻の完成に向け、ひた走りに走っていく。
その足を止めはしなかった。

本来、シリーズのなかで丁寧に描こうとしていたストーリーを凝縮したものを脚本に落とし込んだ。
シリーズのファンだけでなく、最終巻だけ観ても楽しめるように、これまでのシリーズの重要な部分を両角と唐澤の掛け合い、というか、唐澤の一方的な語りかけで伝えるかたちをとり、決して映像の継ぎ接ぎみたいな振り返りにはしなかった。
エンターテインメントを忘れていない。

自主制作の宣言をしてから、完成リリースに至るまでの間には、制作陣にとって辛く苦しく悩ましいことが多々あったように見受けられる。
特に監督とキャスト──当事者の間でしかわからないが、熱と熱とのぶつかり合い、すれ違いもあった。
それはどちらが正しい、正しくないという話ではなく……。
だが、目指している方向性は決して違うベクトルではなかったと思う。

険しくも高い山を幾つも乗り越え、ようやく最後の作品が完成したのだ。

最終巻は『心霊玉手匣constellation』と名付けられた。

constellation。
コンステレーションの意味は劇中において、こう解説されている。

一見、無関係に配列されているものが、ある時、全体的な意味を含んだものに見えてくることがある。何気ない星の配列もまた、あるイメージを伴った時、星座として輝く。

壮大な宇宙にも興味を抱いている岩澤による、洒落ているのに意味のある、素晴らしいタイトルだ。
なにより、心が沸きたつ。

2018年4月28日に『心霊玉手匣constellation』リリース記念イベント上映、開催。
続く2018年5月2日にリリースされた。

個人的な話になるが、その頃のオレはイベントに行くという発想がなかったし、ツイッターを覗くことすらやっていなかったので、『心霊玉手匣』関係で応援出来ることといえばDVDをひっそりと買うくらいしかなかった。

そんなオレでも、完結編はすごく嬉しかった。
よくぞ、完結してもらいました。
キャストも、セリフも、音楽も、演出も、ロケーションも、後に残る余韻も、全てが素晴らしかったです。
最高のホラー作品をありがとう、と。
まさに感謝の一念しかないのだ。

『心霊玉手匣constellation』については、ネットやSNSを見る限り、賛否両論がある。
強い賛辞を送っている人もいれば、まるで親の敵みたいに強く否定している人もいる。
もちろん誹謗中傷でなければ、作品を観た上での評価や感想は自由だ。
だけれども、もし『心霊玉手匣constellation』をさらっと観ただけで判断をしたのであれば、1から観て欲しい。
1話の作品ごとに表現のテイストが異なっているのは非常に挑戦的で、人によってはブレていると思うかもしれないが、その実、根底にある暑苦しいほど熱い思いは、まるで川から海に至る水の流れのように、ブレることなく首尾一貫している。
最初からじっくりと観れば、そのほとばしる熱の一端を、きっと感じることができるはずだ。

またこの作品を制作することで、岩澤は過去に発した自らの言葉を実行した。

エンドロールに注目してもらいたい。
constellationに登場したキャストだけではなく、1から4に出演したキャストすべてが載っている。
クレジットされているのは、画面に顔出しで登場した俳優たちだけではない。
モザイクがかかっている出演者たちも含まれているのだ。

もしエンドロールをまったく気にしていなかったという人は、一時停止してでもキャストの名前を見てもらいたい。
詳しくは言わないが、投稿系ホラーをそこそこ観ている人であれば、あっ、という気づきがあるはずだ。
再度、その人が登場している当該部分を観直してもらいたい。
彼ら彼女らの熱演が、たとえ短かったとしても、モザイク越しであったとしてもわかるだろう。

もうひとつの物語の終焉『心霊玉手匣外伝其の二 Get Back』は、チーム玉手匣の面々は出ない。
その後の『constellation』の世界における、ラスボスであった「彼」の物語である。
たった20分程度の短編ではあるが、音楽と愛と絶望と希望が調和している希有な作品だ。
何度も生き返る「彼」は、決断してこう叫ぶ。
「Good Luck!」
その叫びは、暑苦しくも美しかった。
音楽が生き物として、作品全体に息づいていた。

2本の外伝はどちらもソフト化されていない。
だが、もしかしたらニコ生ホラーの一挙放送にて公開されるかもしれない。
その機会があれば是非観てもらいたい。

チーム玉手匣の物語はこれで幕を閉じた。
しかし現実世界と地続きであろう『心霊玉手匣』の世界のどこかで、彼らは生きていて、活動を続けている。
ならばファンとしては、この作品があったということを心に深く刻み込んでおけばいい。
そのうち、きっとチーム玉手匣はどこかで顔を出すはずだ。

チーム玉手匣は永遠に不滅だ!

そう願ってならない。



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