オレはツイッターのプロフィールに「映画好き」と書いている。
ただ実のところ、全世界に向けて「映画好きだ」と胸を張っていえるほど映画好きではないと自覚している。
そんなオレからしてみると、本当の映画好きってのは、そうだな。
毎週毎週、映画館に足を運び、スクリーンで封切りされたばかりの映画を速攻で観に行く。
指や手首や足首や、それこそ男性器であっても高枝切りばさみあたりでバッサリ切り落とすような生々しいシーンがあるハードなバイオレンスだろうが、砂糖とサッカリンを混ぜ合わせて青色1号で真っ青に着色したアメリカンが大好きなことこの上ない、死ぬほど甘々な恋愛モノだろうが、ジャンルは問わず、自分にとって面白ければなんでもいい。
なんでも食ってやるぜ、みたいな。
何故ならオレは、あたしは、あたいは、映画の神に祝福されているから!! やっふー!!
──みたいな、映画に対して、ダボハゼみたいに貪欲で雑色系な人々が頭に思い浮かぶ。
じゃあ、お前はどうなんだ、という話になるが……。
オレが考えるに、大前提が当てはまってない。
ここ数年来、そもそも商業映画を観に映画館に行った記憶がないのだ。
だいたい最後に観た映画ってなんなんだよ、と。
よく思い出してみたら、そうだな。
自分が最後に映画館で観た商業映画は、あれだ。
堤幸彦監督『トリック劇場版 ラストステージ』(2014年1月公開)
仲間由紀恵演じる売れない貧乳マジシャン山田奈緒子と堅物でブツも大きいぶっつり学者の阿部寛のふたりの軽妙な掛け合いが売りの『トリック』シリーズの第4作目にして最後の劇場版。
「トリックシリーズ14年の集大成!本当に最後です!」ってキャッチフレーズのこれ。
堤監督のオヤジギャグテイストあふれる、ゆるゆるなユーモアはハマればドハマりするが、外すと明後日の方向への大暴投になる。
ただこのユーモアについては、『トリック』は一番の大成功だったのでは、と思う。
堤作品のなかで『トリック』は、オレ的ダントツ一位で大好きな作品だ。
別にオレがそんなに主張しなくても、大抵の人がそうだろうけど。
『トリック』はドラマからの映画や特番である。
どの回が好きなの、と別に誰にも問われていないけれども勝手に答えてしまうが、やっぱり最初期の『母之泉』が愉快で堪らない。
未だに教祖役の菅井きんの名演技と信者たちの「おっかぁーさまぁー!!」が忘れられない。
このつかみ、すごい。
つかまれた、オレ。
とにもかくにも。
まるっとお見通しだ!!
って誰でもいいからいわれたい。
そんな感じ。
あ、ごめん。
一部訂正。
おっさんにはいわれたくないわ。
ちなみに堤作品で二番目に好きなのは、やはり『ケイゾク』。
中谷美紀と渡部篤郎のW主演。
物語もさることながら、やはり主題歌も唄う中谷美紀の『クロニック・ラヴ』にのせてフラッシュバックばりばりのあのオープニングは痺れまくる。
さすがは坂本龍一。
さす坂。
子供が観てたら「ポケモンショック」状態になるんじゃないか、みたいなフラッシュバックっぷり。
未だに記憶に残るオープニングは、大したものだ。
知らなければオープニングは探して観てもらいたい。
脳天ぐらぐらされるほど、格好良すぎ。
カメラワークとその映像美については、天才的だよね、ほんと。
話を元に戻す。
基本ネタバレ無しブログなので語れることは少ないのだけど、やっぱこの映画のラストがたまらない。
第1話の繰り返しっていうか、なぞり書きっていうのかな。
このラストシーン、ずっと観てきたあんただったら、わかるでしょ?
感慨深いでしょ?
そんな風にぐいぐい押し付けられるのだけど、無条件に受け取ってしまうんだよね。
山田と上田が微妙な関係のまま重ねた14年の重み。
これは泣いた。
泣くでしょ、そりゃ。
最高。
ただ『トリック』シリーズを見続けないで、初っ端から最後の映画版を観ても感想は「ふーん、で?」くらいしかないと思う。
シリーズ物って途中から入るのはキツいものがあるけれども、それを見続けている人にとっては積み重ねってなによりも感動のスパイスになる。
で、この作品の公開は2014年1月。
2018年12月22日現在で考えると5年弱。
5年も映画館行ってないのに、映画好きを語るオレ。
ただよくよく考えたら、映画館では観てないけど、公開された映画をDVDや配信で観ることはよくあるぞ!!
家では結構、映画観てるじゃん。
だったらいいか。
前言撤回する。
オレは映画好きだ!!
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